業務チェック表を付けさせるのは良いことなのか?

コンビニでアルバイトをしている時に、業務チェック表のようなものを付けさせられた。

例えば、お米を炊いたらその①時間(浸水開始、炊き始め、炊き上がり)、②量、③種類を毎回記入していた。

これは、お米の炊き忘れを防ぐために義務化されていた。

人間は必ずミスをするのだから、ミスを防ぐ仕組みを考えるべきだ」という考え方の元、行われていた。

 

ミスには様々な原因が考えられる。

大きく分けると、①能力不足と②注意力不足に分けられると思う。

 

①能力不足は上の例でいうと炊く量がわからないといった本人の知識の不足に由来する。一言でいうと、「わからない」という状態である。

逆に、②注意力不足は本来「わかる」はずだが、忘れてしまうといったことだ。これは、「本人の意識」の問題である。

 

業務チェック表は主に②注意力不足をカバーしていると言えるため、ここでは②注意力不足について言及したい。①をカバーしているのは、主にマニュアルである。

 

実際、この業務を忘れることは少ない。おそらく、100回、いや200回に一回あるかないかだ。

しかし、ミスは起こるものだという前提に立った時、たとえ1%以下の確率でしか起こらないミスであろうと、対策しておくのが良いということになる。

 

しかし、現実には従業員からしてみたら、忘れそうもないことにわざわざ時間を取られて面倒だと感じてしまう。

「本人が注意すればいいだけの話ではないか」と。

 

たいてい責任者は面倒であってもミスを減らせるのであれば、そうするように促す。

対して実施者は面倒を嫌がる。

 

ここに乖離があるわけだが、私は業務チェック表のようなものを付ける必要性の有無を以下の3つのステップで判断している。

 

STEP1.面倒だと感じない方法でミスの確率を減らす方法はないかを考える

ポイントは「面倒だと感じない方法」ということだ。

例えば、上の例でいうと相方と相互に確認するといった代替方法が考えられる。

これは1言2言で済むため、とても効率の良い方法だといえる。

仮に1人がミスをする確率を1%とした場合、2人で確認したのならば理論上は、

1%×1%=0.001%(1万回に一回)

の確率まで減らすことができる。

このSTEPはミスを減らす努力を怠らないということでもある。

 

STEP2.ミスの確率とミスを引き起こした時のリスクの評価をする

例えば、ミスを引き起こした時のリスクがとても小さなことだったとする。わかりやすく、損失額を例にして100円程度の損失だったとする。(ここでは便宜上、信用度などの数値に表せない損失は考慮に入れないものとする)

100円程度の損失を防ぐために、ミスの確率を1%以下まで減らす必要があるのかないのかといった評価をするのである。

ミスの確率を減らす努力に対して、どれだけのリスク軽減が望めるのかを評価する。そういう意味では、費用対効果と考え方は似ているかもしれない。

 

STEP3.ミスを防ぐ仕組みを考える

STEP2で評価した上で、さらなる対策が必要であると考えるのならば、ここで初めて業務チェック表のような予防策を考えることになる。

 

 

さて、お米の例に戻ると、

STEP1として、お米を炊き忘れないようにする面倒でない方法を考え、相方と相互に確認するという方法を取ることにした。

STEP2として、お米を炊き忘れた時のリスクは、その日、お米を使った商品が提供できなくなる(あるいは提供が遅くなる)、また、その状況が起こりうる可能性を評価する。忙しい日であれば当然そのようなリスクも高まるし、そういった様々な要因も考慮に入れる。

そして、評価の結果、さらなる予防策が必要だと考えた場合、ミスを防ぐ仕組みを考えるのである。

 

STEP1を省略してしまうと、その予防策を実施するものとしては、「もっと簡単で効率良くミスを減らせる方法があるのに・・・」となってしまう。

 

 

業務チェック表を付けさせるのは良いことなのか?

 

この問いに対しては、当たり前かもしれないが、そうする妥当性があるかどうかの検証が必要になるのである。

もちろん、実施者がミスをしないように注意力を働かせるということが前提なのだが。

 

 

そんなことをプログラミングを勉強しながら感じた。

コンピュータは命令されたことに対して面倒がらない。

よって、ミスをしないように様々な命令をしてもそつなくこなすことができる。

しかし、命令に誤りがあった場合には「誤った命令を着実に」こなしてしまうことになる。

そのため、命令を出す側(プログラマー)が十分に気を付けなければならない。